遅延損害金とは?通常利息との比較と返済に遅れないポイント
返済期日に遅れた場合に発生する遅延損害金とは?
遅延損害金は、簡単に言えば延滞料のことで、通常利息と比較して利率が高いという特徴があります。
「遅延損害金=返済遅れ、延滞をしたことに対する罰金・ペナルティ」とイメージすれば、わかりやすいかもしれませんね。
ではここで、遅延損害金の具体的な利率や設定について見てみましょう。
遅延損害金の利率上限は借入先によって設定が異なる
遅延損害金の利率の上限は法律によって定められており、根拠となる法律によって利率が異なります。例えば、利息制限法では遅延損害金の上限利率は、以下の通りとなっています。
元金 | 利息上限 | 損害遅延金上限利率 |
---|---|---|
10万円未満 | 年20% | 年29.2% |
~100万円未満 | 年18% | 年26.28% |
100万円以上 | 年15% | 年21.9% |
これを見てもわかる通り、遅延損害金の利率は通常利息と比較してかなり高めの設定となっています。元金が10万円未満で年率29.2%というのは、さすがに驚きですよね。
ただし、貸主が貸金業者である場合は、貸金業法(1条、4条、7条)が適用となり、遅延損害金の上限利率は年20%までとなります。一般の方がカードローンやクレジットカードのキャッシングを利用する場合、損害遅延金の上限は20%とざっくり把握しておけばOKです。
法律のことはさておき、遅延損害金利率(年率)の相場は次の通りです。おおよその数字を覚えておくとよいでしょう。
- 消費者金融系カードローン 20%
- 銀行系カードローン 14~20%
- クレジットカードのキャッシング 18~20%
- クレジットカードのショッピング 14.5%前後
- 個人対個人の借金 5%(民事法定利率)
金融機関によって遅延損害金の利率の設定は異なる
遅延損害金の利率は、法律で定められた上限利率の範囲内で貸主が設定します。ここで、一般の人になじみ深いカードローンを例にとって、金融機関による遅延損害金の設定の違いを見てみましょう。
金融機関・商品名 | 通常利息(年率) | 遅延損害金利率(年率) | |
---|---|---|---|
銀行 | 三井住友銀行 カードローン | 4.0~14.5% | 19.94% |
三菱UFJ銀行 バンクイック | 1.8~14.6% | 1.8~14.6% | |
みずほ銀行 カードローン | 2.0~14.0% | 19.90% | |
ネット銀行 | 楽天銀行 スーパーローン | 1.9~14.5% | 19.90% |
ソニー銀行 カードローン | 2.5~13.8% | 14.60% | |
オリックス銀行 カードローン | 1.7~17.8% | 借入時の金利+2.1% | |
消費者金融 | アコム | 3.0~18.0% | 20.00% |
プロミス | 4.5~17.8% | 20.00% | |
レイク | 4.5~18.0% | 20.00% |
この表を見ると、多くの金融機関で遅延損害金の利率が上限の20%ギリギリに設定されていることがわかります。遅延損害金に「延滞の罰金・ペナルティ」という意味があることを考えると、上限に近い設定となるのは当然です。
しかし、中には三菱UFJ銀行のバンクイックのように「通常利息と遅延損害金の利率が同じもの」や、オリックス銀行カードローンのように「遅延損害金の利率=通常利息に2.1%を加算したもの」など、他とはひと味違うカードローンもあります。
いずれにしても、遅延損害金の利率は借入先の金融機関によって異なります。遅延損害金が気になる方、具体的にどの程度の利息になるか不安な方は、公式サイトやコールセンターの問い合わせで確認することをおすすめします。
遅延損害金の計算方法は?通常利息との違い
遅延損害金の計算には、基本的に「借入残高、遅延損害金利率、延滞日数」の数値が用いられます。自分で遅延損害金の計算を行う際は、上記3つの数字を確認しておくことが大切です。
また、延滞を解消するために返済すべき金額を計算する場合は「延滞遅延金と通常利息の違い」を正しく理解する必要があります。
ここでは、遅延損害金の計算方法と、遅延損害金と通常利息の違いを解説します。
遅延損害金の計算式は2種類ある
遅延損害金の計算式には、次の2つがあります。
- 借入残高(元金)×遅延損害金利率÷365×延滞日数
- 延滞している金額(元金)×遅延損害金利率÷365×延滞日数
この2つの計算式のどちらが適用されるかは、借入先の金融機関や申し込む金融商品によって異なります。損害遅延金を算出する場合は、事前に公式サイトなどで確認しておきましょう。
計算式にあてはめる延滞日数の数え方
延滞日数は「返済期日(約定日)の翌日」から「延滞解消日」までの期間の日数を指します。
たとえば、返済期日が8月15日、返済期日を過ぎて返済を行った日が8月25日だった場合は「8月16日~8月25日までの10日間」が延滞日数となる、というわけですね。
延滞日数を数える際は、あまり難しく考えず「返済期日(約定日)は含まれない」という点だけ、しっかり押さえておけば問題ありません。
10万円借入している場合の損害遅延金シミュレーション
計算式がわかったところで、実際に以下の条件で損害遅延金を算出してみましょう。
借入額 | 10万円 |
金利 | 14% |
遅延損害金利率 | 20% |
毎月の返済額(10,000円) | 通常利息 1,150円 |
元金返済 8,850円 | |
延滞日数 | 10日間 |
1.「借入残高(元金)×遅延損害金利率÷365×延滞日数」で計算した場合 10万円(借入額)×20%(遅延損害金利率)÷365×10日(延滞日数)=547円 2.「延滞している金額(元金)×遅延損害金利率÷365×延滞日数」で計算した場合 8,850円(延滞している元金)×20%(遅延損害金利率)÷365×10日(延滞日数)=48円 計算式によって、導き出される損害遅延金にかなりの差がでましたね。しかし、実は「2の計算式」が適用される場合は、延滞期間中に遅延損害金だけでなく通常利息も発生するため、延滞解消のために支払うべき利息の合計は次の通りとなります。 通常利息 (10万円-8,850円)×14%÷365×10日=349円 通常利息+遅延損害金 349円+48円=397円 計算の最終結果を比べれば、547円と397円とそれほど差が大きくないことがわかりますね。 どちらの計算式が適用されるにしても、遅延損害金は1日ごとに発生するため、延滞期間が長くなればなるほど、支払うべき利息や損害金はふくらんでいきます。 なにかしらの事情で返済が遅れてしまった場合は、可能な限り早く返済を行い、遅延損害金の発生を抑えることが大切です。